それでも、アジアのアイドル文化は韓国を中心に回り続けるだろう。

韓国のニュースサイトで、先日行われた東京アイドルフェスティバル(TIF)2016をコアに日本のアイドル文化について論じる記事が掲載された。
基本的には筆者(プロフィールによれば10年前から日本在住のゲーム開発者・サブカル系webサイト主宰者らしい)自身のTIF経験とwikipediaの情報を基に、日韓アイドル文化の比較も含めて書かれている感じである。
Excite翻訳を経由して読んだが多少物足りない部分があったので、自動翻訳された文章をベースに勝手に修正・加筆するような感じでしばらく書いていたのだが、返歌というか、レスポンス的に書いた方がいいかなと考え直した。こういうときには言葉が分からない音楽をBGMにしてMacに向かう方が効率がいい。OH MY GIRLの「Windy Day」いいですねー。今のところ今年一番のお気に入り。

さて、TIFの源流は、都内では毎日どこかで行われている地下アイドル(“地下”という語感が反社会的な連想を誘引するため「ライヴアイドル」という言い方もある)のライブにあると言っていい。会場は小規模なライブハウスが多く、複数のアイドル(グループ)が競演し、1組あたりの出演時間は15〜20分。全ての出演者の出番が終了すると客席の隅に机が持ち込まれ、そこにアイドルたちがCDやオリジナルグッズを持ち込み、概ね1時間程度の物販時間が設けられる。出演者が多数の場合や出演者に事情があり(年齢や前後のスケジュールなど)終演までいられない場合は入口付近のスペースを使ってライブ中に物販をすることもある。このように、日本の女性アイドル歌手の多くは観客の目前で“自ら前面に出て稼ぐ”姿を見せながら、ファンとも協力しあって独自の文化を作り上げてきた。
さらに地下アイドルの歴史を辿ると、1990年代半ばまで遡ることになる。「アイドル」の定義が女優やニュースキャスター、CM・グラビアモデル、果てはスポーツ選手やAV(ポルノ)女優まで拡大する一方で、景気低迷によってTVやラジオから「アイドル歌手」が締め出されていく中でその流れは生まれた。筆者の記憶の限りでは、水野あおい森下純菜、制服向上委員会(SKi)がその先駆者的存在と言える。2000年代に入るとメディアに露出しない(できない)アイドル歌手や、アイドル歌手的活動を副業とするアマチュアが集うようになり、前述のような地下アイドルのビジネスモデルが確立されてくる。
その要素を発展させたのがAKB48である。メディア展開に頼らず、(定期)公演を活動のベースとして、ネットや口コミなどをベースに認知を広げる──そのような地下アイドルの方法論を取り入れながらも、デビュー曲にNTTドコモのタイアップをつけたり、それぞれの分野のエキスパートにクリエイティブワークを手掛けさせるなど、地下アイドルには真似出来ない手段も使って高いレベルのエンタテインメントを提供するようになった。言い方は悪いが、セミプロの“アイドルごっこ”の世界にプロが本気で殴りこみをかけるとどうなるかという実例である。(ただし、このやり方にも先駆者はいる。バブル全盛期の1990年に結成された、篠原涼子穴井夕子が在籍した(先代)東京パフォーマンスドール(TPD)は、エピックソニーの洋楽チームが公演や楽曲の一切をディレクションし、ファンが「ドリカムの税金対策」と自虐するほど(世間的な認知度とは反比例する)高いレベルの楽曲・ライブ・アートワークを披露していた)

…TIFに話を戻そう。
全世界的にCDなどの音楽ソフト販売が低迷し、配信ビジネスもストリーミングやサブスクリプションが普及しアーティスト収入が激減する中で、ライブビジネスは着実に成長している。公演収入に加えてCDやグッズを直販することで高い利益率のビジネスを展開できることも大きい。そのような流れの中にTIFもあり、その根本には様々な地下アイドルのライブがある。(なお、TIFは出演者へのギャランティーは発生しない。その代わり、物販での収入は100%出演者のものとなる)そう考えると、現代日本の女性アイドルシーンは、偶然の要素が大きいものの世界の音楽シーンの先端を行くと言うことができるだろう。
一方で、このような形でアイドルシーンが形成されている国は世界で実質的に日本だけのため、外国のアイドルが参入することは難しい。また、日本のアイドルファンや芸能界関係者は外国のアイドルが日本で活動する際に日本のアイドルと同じ振る舞いを要求する傾向がある。通訳が不要なレベルの日本語を操り、日本のマーケットに適合した(もちろん日本語による)楽曲を制作・販売しなければ、日本のアイドルと同じステージに上ることは事実上許されない。その結果、雑誌「日経エンタテインメント!」2016年9月号でAPinkが“一人勝ちしている女性アイドルグループ”として紹介される有様である。(言うまでもなく“(日本語楽曲を販売している)女性アイドルグループ”の中での話であり、グローバルな話ではない)筆者はこれについて、かつてSM EntertainmentがS.E.Sの日本進出で辛酸をなめ、その反省からBoAを“国籍不詳”な歌手として日本デビューさせ、成功し(てしまっ)たことが大きな原因と考えている。KARAや少女時代を筆頭に韓流アイドルが相次いで日本進出した頃、木更津駅前の路上で有線放送からT-araの「ボピボピ」(韓国語版)が流れてきたときはとうとうこういう時代になったかと感慨深いものがあったが、竹島(独島)を巡る問題がこじれたことで情勢は逆戻りしてしまった。日本におけるK-Pop歌手のライブイベントはどれも盛況ではあるものの、客層は日本のアイドルファンと完全に分断してしまったように思う。実際、Aprilのファンミーティングに参加したとき、日本のアイドルイベントと客層が全く違うことに驚いた。このような状況下でTIFに海外のアイドルをわざわざ招く意味はない。今年のTIFに出演した台湾の地下アイドル(日本の影響を受けたシーンが存在し、日本の地下アイドルも出演しているらしい)ジュリリジュリラン未来ゴロゴロコロニー13世のように日本の地下アイドルの“作法”を知っている者は例外だが、そんな人は世界レベルで見てなかなかいないし、そんなアイドルばかり世界中からかき集めてもあまり面白くないように思う。日本のアイドルファンが多様性を真に受け入れることが最低条件であり、その道は果てしなく遠いものだと言わざるをえないのが現状だ。