【再開記念】勝ちに来たK-Pop、見せに行くJ-Pop。そして、アジアンポップスの行方【下書きに残ってた】
※ブログの「下書き」を確認してたら出てきた、おそらく尻切れで放置してたであろう駄文を以下に放出します。おそらく2019年5月頃に書き始めていたものと思われます。その点をご了承の上ご覧ください。なお、リンク先が切れていた部分を削除しています。ご了承ください。
「コーチェラ(・フェスティバル)」と呼ばれる、音楽フェスがある。
欧米の音楽事情に詳しくないので初めて知ったのだが、毎年春にカリフォルニアの砂漠地帯で行われる大規模な音楽フェスで、今年で20回目を迎えたのだという。
その“コーチェラ”に出演したアジア人女性アーティストに関する記事が、音楽ファンの間で(ちょっと)物議を醸した。
Twitterでの反応は賛1:否3〜4くらいの印象を受けるが、K-Popに多少でも明るい人なら、このライター氏がいかに(日韓双方に)愛のない文章を書いているかが分かるだろう。ググってみても、変な批判記事しか書かない人として一定の認知を得ている印象だ。キーワードの散りばめ方が上手いのでサイト側としては広告収入を確保する上で重宝するのだろうし、コレきっかけで自分に2年弱ぶりでブログ書こうと思わせた効果はあるけど、ライター/ジャーナリストとしてはどうなのよ。
…という訳で自分なりに何か書いてやろうと思い立ち、いろいろググったりウィキったりしてる最中に、ある勘違いをしていたことに気がついた。
SUPER JUNIOR 슈퍼주니어 '쏘리 쏘리 (SORRY, SORRY)' MV
スーパージュニアの大ヒット曲「SORRY,SORRY」である。
「この曲から“K-Pop”は始まった」くらいの曲だと自分は思っているのだが、なぜか2008年の曲だと思っていたのである。
2009年だった。そういや少女時代の「Gee」とミュージックバンクの1位争いしたんだから2009年だ。台湾のバラエティ番組「我愛黑澀會」の父の日企画で黑澀會美眉(黑Girl)のメンバーの父親に「SORRY,SORRY」を踊らせるという企画をやったのも、台湾HIT FMの年間チャートで1位を獲ったのも調べ直したら2009年だった。なんで間違えて覚えていたのか…謎である。
我愛黑澀會 *20090810 pt.4/5 今晚為我尖叫吧! Mei爸 薰爸 大變身
2008年にこんなことやってる暇はない。アルバム出したんだから。イベント行ったもん(懐)
「SORRY,SORRY」の話に戻る。
この曲には以降のK-Popにつながる二つの大きな特徴がある。繰り返しのハングルの響きが印象的な歌詞と簡単な(ように見える)ポイントダンス(後にPSYが命名)である(日本だとKARA「ミスター」の“ヒップダンス”の方が分かりやすいかも)。どこまで意識して作ったのかは分からないが、言葉が分からなくても楽しめることの効果は大きく、そこに世界的なインターネットの普及が重なり、結果として日本以外のアジア諸国では大ヒットし、前述のようなバラエティのネタとして使われたり、ジャパンフェスティバル的なイベントでのダンスコンテストの出場者が披露したりした。近年は曲の傾向が異なっていたり、YouTubeやSNSの影響度が高くなったりしているので単純には当てはめられないし、もちろんその下地として「シュリ」「JSA」「冬のソナタ」などの映画・TVドラマの存在があったり「韓流」という言葉が生まれるきっかけとなったBaby V.O.Xの中国進出があったりもするのだが、この曲が現在の世界的なK-Popムーブメントの基礎となり、大げさに言えば韓国の政府や国民が海外を意識する一要素となったのである。お手本を持つ国は強い。
(あと、野望がある人がいる国も強い。JYPパク・ジニョン氏やSM Ent.イ・スマン氏、YG Ent.ヤン・ソンヒョク氏といった大手芸能事務所の創業者が海外進出への野望を持ち続けてきたこともまた、K-Popの海外進出へのモチベーションの一つとなったことは間違いない。よく言われる「エンタメ業界のビジネス規模が日本の数十分の1だから」という説は理由の一つではあるが全てでもない)
翻って日本は?と考えると、アニメやコスプレにせよアダルトビデオにせよ、昔も今もあまり海外への展開を意識していないようだ。文化の独自性を維持・醸成していくにはいいことだし、最近の“シティポップブーム”もその一つかもしれない。ただ、心配なことはある。総じて受け身である、ということだ。
今でこそ普通に行われている海外でのアニソン公演も、確か水木一郎氏だったと思うが、最初に南米の国に招待されたときは何が何だか分からないまま現地に赴き、あまりの歓迎ぶりに驚いたと言っていたのを憶えている。アダルトビデオで言えば夕樹舞子氏が初めて香港に招待されたときも、現地で待ち構えていた大量のファンに驚いたことを「トゥナイト2」で語っていたのを見たことがある。ただ、ともに20世紀の話。現在は情報を受信するにせよ発信するにせよ、ずっと容易かつ迅速に行えるようになったのだが、それを活かしているメジャーなアーティストは殆どいない。たまにいてもこの仕打ちだ(下記リンクは少し古い話なのでYouTubePremium日本導入で改善されていることを祈るが、もし改善されてたとしてもPremium限定だろう)。
若いのに意固地になってる人もいるし、それを支持するファンが思いのほか多いのは心配にさえなる。
俺とヤバTはCDを売る。時代錯誤なことくらいわかってるよ。でも俺らはCDを売る。 https://t.co/8dwiZFSJo8
— 岡崎体育 (@okazaki_taiiku) January 8, 2019
先日拝見したあるトークショーでもK-Popの日本展開におけるある障壁についての話があり愕然とした(オフレコ厳命なので詳細は伏せますが、国際的なルール違反の可能性もあるので表沙汰になったら結構な大事です)のだが、日本の音楽業界は音源からの直接的な収益にこだわりすぎて、勢い余って日本国内から(ハングルの)K-Popを遠ざけようとさえしている。世界市場でK-Popの後塵を拝していることを未だに理解していない(というか認めたくない)のだろう。もちろんファンには関係ない。今までどおり(世界の多くのK-Popファンと同じく)ネットで曲を聞き、情報を集め、楽しむだけである。
さて、話は(かなり)強引に冒頭のコーチェラに遡る。
BLACKPINKは金曜の2列目、Perfumeは日曜の5列目にラインナップされている(他に韓国のロックバンドHYUKOHがPerfumeと同列に、日本人Vo.野口オロノが所属するSuperorganismが土曜の7列目にある)。デビューして2年も経たないBLACKPINKがこのポジションにいて、どこまで受け入れられたのよと思ったら、こうである。
BLACKPINK FULL SET HIGHLIGHTS @ COACHELLA 2019
少しでも後方から撮られているファンカムを探してみたが、一番大きなステージにそれなりの客を集め、しかもそこそこシンガロングしてるレベルまで彼女たちの存在が浸透していることに驚かされる。リズムセクションがバンドセットなのも相まって、音楽フェスにふさわしい雰囲気を作り上げている。煮えたぎるレッドオーシャンに自ら首を突っ込み、死屍累々をかき分け成果を上げていく、これがK-Popの“姿勢”であるということを改めて感じた。では日本、Perfumeはどうか。こんな感じであった。
Perfume Live at SXSW | STORY (SXSW-MIX)
「コーチェラちゃうやん!」と思ったアナタ、仕方ないのです。肝心要の「Coachella Curated」で配信された映像は(少なくともYouTubeで検索した限りでは)発見できなかったから、たまたま引っかかった(似てる感じの)SXSWの画を持ってくるしかないのです。因みに実際の現場のファンカムだとこんな感じ。
Perfume - Story - Coachella 2019 Weekend 1
屋外の中規模の(それでも結構大きいが)ステージ。別の動画では強風でスクリーンが倒れそうになってスタッフが支えるようなシーンも発見したりでコンディションは万全でなかったとはいえ、分かりやすさに欠けたステージングであった感じがする。確かに「Rolling Stone」が評したように“レイヴ・パーティ”としては一級品だったとしても“テクノロジーを(現場で)見せる”という点においては消化不良だったように感じる。「Coachella Curated」で流れたリアルタイムエフェクトバリバリの映像群をもっと現場の観衆に届けることを考えないと。方向性はともかく、これくらいまでカジュアルにしないと内輪受けで終わってしまう。
付け加えると、Week1で生配信を行ったBLACKPINKがTwitterトレンドで世界1位を獲った一方、Perfumeが配信を行わなかったことは世界中のファンを失望させた。この辺りにも商機を逃さないK-Popとおっとり刀で構えるJ-Popの差が出てしまった。日本はまたしてもテクノロジーで勝って、ビジネスで負けるのだろうなと思わずにはいられなかった。
BLACKPINKとPerfume。同じ東アジアの女性トップアーティストが、ステージの大きさに差こそあれど、同じ音楽フェスにどのようなスタンスで参加したのか。
大げさに言えば、そこに日韓エンタメ関係者のスタンスの違いが出ている気がした。
YG Ent.とBLACKPINKはアジアツアーの勢いをそのままに、ネット上のファンダムを具体化し、バズらせ、ステイタスを得るためにコーチェラに乗り込んだ。
アミューズとPerfume(とライゾマティクス)はワールドツアーと過去の経験値に基づき、自分たちのやり方を見せる場所としてコーチェラに乗り込んだ。
それぞれに自分たちが評価してほしかった層からの評価は得られたように思う。ただ、それらがフラットに並べられたときに、どちらに具体的な効果がもたらされるかと言えば、答えは日本にとって悲観的にならざるを得ない。それを取りに行こうという実行力が足りないのが現在の日本のエンタメ、ひいては日本国そのものなのではないか。それくらいのことを考える。
…よし、やっとタイトルにたどり着いたぞ(汗)
(てか、2年半前はまぁまぁバランスできてるじゃん!)
たどり着いたついでに、もう少し。
ここ1ヶ月くらいはQ-Popなる音楽をよく聞いている。ざっくりと言ってしまえばカザフスタン版K-Popのことである。どこまで世界を視野に入れているかは分からないが、YouTubeチャンネルはやたらと充実している。24/7のストリーミングだってある。
カザフがGAKKUならベトナムはYEAH1。数年前は結構見てたなぁ…