「断」の年から。

一応「マスコミ」と区分される企業で働いている(記事に直接関われる部署ではない)者として、アメリカ大統領選挙の開票日(私の誕生日でもありました)のフロアがビミョーな空気になる感じは結構貴重な体験だった。開票が進んでいくうちに「えっ?ええっ??」って雰囲気になっていく感じとか。報道系のフロアよりはずっと穏やかだったと思うけど、それでも「予想してた流れと違う」感みたいのはひしひしと感じて。…もちろん、自分の中にそういう感情があったのも含めて。

既視感があった。平松邦夫氏が橋下徹氏に敗れた、大阪市長選だ。
ツイッターでフォローしていた関西在住の人で、橋下氏の支持する発言をする人はいなかった。むしろ平松氏をハッキリと支持していた。自分も橋下氏の発言に不快感を感じていたので、そう考えるのが自然だよな…と思っていた。
東京五輪・パラ招致もそうだ。自分の周囲で明確に支持している人は一人もいなかった。むしろハッキリと不支持を表明する人の方が多かった。個人的には後から「そりゃイスタンブールマドリードみたいな(ヨーロッパ目線で見たら)危なっかしいとこでやるよりはアジアの儲かってそうなとこでやる方を望むよなぁ」と無理矢理思い込むようにしたけど。
昨今の国政選挙もその範疇に入るかもしれない。もちろん野党が圧倒的に頼りないというのは感じたけれど、それでも少なくとも政権与党に投票しようという気にはなれなかったし、実際そうした。

クラスタライズされた世の中。タイムライン的な世界観。
そういう中で自分たちは生きているのだなぁ、と今更ながら痛感する。

イギリスのEU離脱をめぐる国民投票アメリカ大統領選挙の結果は世界に「私たちと違う考えを持つ人はたくさんいる」ことを容赦なく晒した。何というか、自分の眼前から無意識のうちに避けていたそういう現実がドン!と押し寄せてきたような感覚が最近、すごくあるのだ。それぞれの思想を持った人たちのコミュニティとその間を隔てる結界、そして結界を超えて飛び交う言葉の応酬。それがPCやスマホのディスプレイ越しに見えてきて、自分の頭の中で戦争系ゲームの画面っぽく(やったことないのであくまでイメージですが)再構成される、そんな感じ。
さて、そういう感覚を職場の同じフロアの人たちは持っているのか。同業他社の動きは常にウォッチ対象となるし、攻防戦のようなものもあるわけだが、飛び交う言葉は「あーまたあっちが何か言ってるねー」的なのんびりしたものなので可能性はあまり高くなさそう。そんな呑気なこと言ってる場合か“戦時体制”ちゃうのか今は!くらいに思うのだが、どうやら彼らの頭の中には長年の経験から組み上げられた自分とは違う画面が見えているらしい。同じフロアなのに自分だけがパラレルワールドにいるような…と言ったら盛りすぎだが、そんな感じになることは多い。
恐らくだが(そもそも怖くて聞けん←)この図式はずーっと前から、それこそ彼らがここに就職した頃から続いてるんだろう。中途入社もいるけど(知る限りは)同業他社ばかりだから持ってる感覚は同じ。“田舎のプロレス”じゃないけど、お約束的な流れがずっとあって、その流れに乗っていれば結構いい給料と充実の福利厚生が保証される。そういう景色がこの人たちにとっての日常なのだろう。“会社で働く”ということは規模の大小を問わずそういうことであり、自分は大学を出てから何らかの組織の中で働きながらも、その恩恵を強く感じずに生きてきたってことでもある。

マスコミ系企業という勤務環境のせいもあるだろう、そんなことを考え続けながら過ごしてきたこの1年だった。
報道系もデジタル対応が進み、ネットでどんなことが話題になっているか、自社配信のどんな記事がアクセスされているかをリアルタイムで分析するシステムを整備しているらしい。それはそれでいいと思うが、下手をすれば世間に過剰に迎合してしまうんじゃないかという感じもする。言うべきことは採算度外視で言う、そういう心意気を失わないでほしいなぁ…と思う。派遣社員ごときに言われたくないだろうけど。
そして何より、マスコミ系企業で働く人々はこの分断された世の中をつなぐ役割を担っている、というかそれが残された最後の役割だというくらいの自覚を持ってほしい。筆が進まなかった間にDeNAがキュレーション分野でやらかしてくれたが、その背景にはマスコミの体たらくも少なからずあると思ってくれないと困る。「あーその話ウチで記事にしたのにねー」とかふんぞり返ってる場合じゃない(そういう現場を見たことはないが、そう思ってそうな人が結構いそうな気がする、というか自分もDeNA Paletteとか知らんかったもん、Spotlightは名前だけなら知ってたけど。何だよ「スマホで読んで楽しむワイドショー」って)。

…まぁ、自分はバカなりに自分でこさえて責任持って発信しなきゃなぁと思う年の瀬でありました。(「今年の漢字」が明日発表と聞いて慌てて〆ている←←)