“秋春制”になるJリーグのスケジュール感をもう少し具体的に考えてみよう
◆半年ぶりにブログに手を付けた。予定では(旧)ツイッターをブログや画像サイトの更新情報にシフトするはずだったが、スレッズはじめ後継と目された各サービスがなんとも使い勝手が悪く(慣れないこともある)結局良くも悪くも使い慣れた場所へと戻ってしまった。まぁ(旧)ツイッターでだいたいの表現と通信は済んでしまうというのも大きいが◆さて、Jリーグが2026-27シーズンから“秋春制”に移行することを正式に発表した。もっと東北・北海道のチームが抵抗するのかと思ったけどそれほどでもなく、唯一移行反対を明言していたアルビも認めざるを得なかった感じだ。議論が尽くされたとはとても思えない。サッカーというグローバルなスポーツで“世界”を見据えたとき「日程を揃える」というのは手をつける一つの要素ではあろう、という程度の認識はあった。ただ、じゃあ具体的にどんな感じに変わるんだ、となるとこれがなかなか分からない◆「シーズン移行の検討」という、タイトルからして素っ気ない特設ページがある。最近でこそ多少は充実してきたけど、それでもまだ赤字ベンチャー企業の決算報告パワポ的ワケワカ具合は拭えない。こういうんじゃないんよウチが見たいのは。インテンシティがどうのとかでもなくて(参考にはなったけど)どんなスケジュール感で“秋春制”のシーズンが進んでいくのかが見たいんよ。じゃないと賛成とか反対とか感覚でしか語れんやん◆もう一つ、動画では水面下で検討が始まっているとされていた下部リーグのスケジュール感も見えてこないので、それについて考えるための資料もほしかった。すでにアマチュアの全国リーグであるJFLは同調する姿勢を明らかにしているが、その下部に位置する地域リーグ以下のカテゴリでも“秋春制”は可能なのかを判断したかったのである◆というわけで、上段が2023シーズンの試合日程、下段が2027-28シーズンのスケジュール感である。Jリーグ公式サイトで23シーズンの試合日程を抜き出すことから始め、JFLや地域(関東)リーグ、地域CL(地域サッカーチャンピオンズリーグ)や全社(全国社会人サッカー選手権)といったカップ戦などの日程を加えた表を作り、これをベースに27-28シーズンの各種大会の日程を想定していった。Jリーグが提示した「B'案」もチラ見しつつ結局はそれほど参考にもせず、仕事の合間にイラレと格闘すること数週間、なんとかここまででっち上げた◆なぜ移行初年度の26-27シーズンではなく27-28シーズンにしたかというと、移行期となる26年3〜5月に行う「特別大会」が“拡大版(グループリーグあり)”ルヴァンカップになる気がして、ならばルヴァンカップがシーズンの中に組み込まれる27-28シーズンの方が汎用的なスケジュール感を把握するのには適していると考えたからである◆まず世間的な関心事であろうJリーグの冬期の試合日程とミッドウィークの試合数増加についてだが、ウィンターブレイク(全く試合を行わない)を8週間、積雪地・寒冷地での試合開催が困難な期間(できる地域では行う)を16週間と想定した。23シーズンのJ3最終節(12/2)が八戸や盛岡、富山などで開催され、24シーズンのホーム開幕戦で最も遅いのが3/16or17(八戸・盛岡・秋田・山形・福島)であることを考えると前後1週ずつ短縮できるかもしれないが、汎用性を持たせるためそこまで追い込んではいない。積雪地・寒冷地のチームは17週(短縮できても15週)はホームゲームが開催できないことが分かる◆そして、23シーズンはJ2の3試合(GWは除く)のみだったミッドウィークのリーグ戦が、27-28シーズンはJ1が7試合、J2・J3が各6試合(GWは除く)設定される。意外と少ない感じもするが、ACLに出場するチーム(とその対戦相手)はもう少し増えて、表では空いているシーズン終盤のミッドウィークに試合がねじ込まれることになるだろう。早いと感じていた8月第2週の開幕も、こうやって日程を組んでみるとまぁまぁ妥当なんだなという感想に変わる◆ルヴァンカップは24シーズンの概要が発表されており、J全チームによる完全トーナメント制だが中盤にホーム&アウェイが入り、最大で10試合(前年比1試合減)となった。秋春制になったらこんなにはできない。全ラウンド1試合(最大6試合)にしてもやや強引にねじ込んだ感(それでもなお冬期にあふれてしまう)がある。ヤマザキビスケットが引き続き協賛してくれるのか心配になるレベルだ◆JFLは少し厄介で、Jリーグに合わせて移行することをすでに表明しており、Jリーグを目指すクラブチームも増えてはいるが、アマチュア登録選手の勤務や通学を考えるとミッドウィークの試合は天皇杯が精一杯だろう。さらに地域リーグとの入替戦を考慮するとあまり遅い時期まで試合を入れるのも適切ではない。そんなことを考えながら設定していったら、ウィンターブレイクは3週間に減り、積雪地・寒冷地のチームのホームゲームは前半12試合と終盤4試合に集中する形になってしまった。冬期の練習環境整備など、ある意味Jリーグ以上の支援が必要になる気がする◆さらにその下、地域リーグの日程はどうなるだろう。シーズン移行論議はまだ始まったばかりのようだが、全国リーグと異なり「冬期に全く試合ができない地域がある」ことは考慮しなければならない。該当する地域は11月末までにリーグ戦を(できれば昇降格の絡むポストシーズンも。北海道は現状を考えるとさらに1か月前倒しか)終わらせる必要があり、そこから逆算すると7月にリーグ戦開幕という“夏冬制”的な感じになる◆そしてJFLへの昇格を懸けた地域CLへとつながるのだが、これをはじめとする“社会人(地域)サッカーのカップ戦”が、実は4つ(も)ある。(1)地域CLと、その参加権を懸ける大会でもある(2)全社はマニアの間では有名だが、その他に(3)全クラ(全国クラブチームサッカー選手権)という都府県・道ブロックリーグ以下のクラブチーム(大学・高専・専門・自衛隊・自治体チームは参加不可)によるトーナメント戦(全社ばりの4日連続)があり、この予選がそこそこの数ある(23年埼玉県の場合県予選5試合(32チーム参加)→地域予選2試合)。さらに(4)国体(24年から国スポ(国民スポーツ大会)に改称)の成年男子サッカー競技も、都道府県単位の選抜編成と思いきや単独チームも多い(23年優勝は高知県=高知ユナイテッド)。通常は地域予選が8月中旬にあり(北海道は予選なし)10月の本大会はどっかで見たような4日連続である。恐ろしいことに23シーズンの日程では、全クラ→国体→全社が1か月の間に立て続けに開催される。都府県・道ブロックリーグ以下所属チームに限るが、これら全てに出場するチームが現れる可能性は理論上ありえるのだ。そういう日程が生み出すドラマもあるが、これを機会にあり方を検討するべきである◆ひとまず自分が考えたのは、地域CLを「各地域のトップリーグ(2部制の場合は1部のみ)の上位チームによる、JFL昇格を懸けた大会」として設定すること。そして全社と全クラを統合し、地域リーグ2部(ない地域は都府県・道ブロックリーグ)以下による“全国交流戦”に徹した新たな「社会人カップ〈仮〉」を設定すること。地域CLと全社の関連性を切り離し、両大会の目的をより明確にするとともに、柔軟な日程を組めるようにするのがメリットだ◆特に「社会人カップ〈仮〉」は表では天皇杯都道府県予選とかぶらないように設定してみたが、たとえば予選を天皇杯都道府県予選と兼ねる形にして、優勝したら天皇杯出場、準優勝以下で「社会人カップ〈仮〉」への参加資格のある最も勝ち進んだチームを地域代表決定戦へ、なんてことを考えてもいい。地域CLはJFLとの入替戦があるので自由度は落ちるが、それでも表の考え方(予選ラウンドを成人の日(1月第2月曜)を中心に土・月・水に→天皇杯シードがかかる準々決勝をその週の土or日に→準決勝&決勝は入替戦直前のタイミングで)の並びの間隔を再調整する余裕ならある◆その他、国スポの成年男子については、かつての全社のように“罰ゲーム”扱いされかねないので、五輪代表のU23のような年齢制限や出場試合数制限を設けて、出場機会の少ない選手の救済的な意味合いを持たせた方が良いだろう。また、天皇杯の1・2回戦はとても1日で終わらせられる試合数ではないので(1回戦48,2回戦32)表に書いた前後の週に分散して行う必要がある(と表を完成させてから気付いた)◆でき上がった日程表を見て最初に思ったのは「まぁ、やってできないことはないな」であった。ただしキツいはキツい。ACLに出場するチームなんて8月から11月までずっと週2試合だし、勝ち進めば2月からGWまで敗退しない限り週2試合ペースが続く。そしてウィンターブレイクにも天皇杯は食い込むし、4年に一度は1月中旬から2月中旬にかけてアジアカップがある。もちろんそうなりそうなところは2チーム体制にして回していくんだろうし、それに耐えられる選手やチームを作るために分配金の傾斜配分など行おうとしているのが現在のJリーグである。それにどこまで共感し、あるいは覚悟していくのか◆Jリーグの“秋春制”は結構いろいろなことを我々に突きつけてくるなぁと思う、2023年の年の瀬である。