地散言礫(チ-サン-ゲン-レキ)by kimaroki

基本 https://twitter.com/kimaroki の人ですが、長文を書きたいとき用に。

【ライヴ(?)】姫乃たまの22才がやって来る!ニャア!ニャア!ニャア!(2014.2.22@阿佐ヶ谷ロフトA)

案の定ですがヒサブリの投稿になっちゃいました。あれから派遣切りとか色々あって心身ともに大変だったんですよ…とか言い訳しつつその話は次の機会に。それにしてもなんでこのライヴのチケット買ったのか。ツイッターをフォローして以来気になる方ではあったけど、そこまで至った心境をちょっと思い出せないでいます。

阿佐ヶ谷駅前のアーケードを少し入ったところにある、名前の通りロフト系列のハコ。トークイベントで2回ほど来た覚えがあるけど(あそこステージに机とかあったよなー、ホントにあそこでライヴとかできるんかなー)とか思いつつ入ったらステージは改装されたのか机なんぞ跡形もなく、背景のイラストも新たに書かれたか書き換えられたかで良くも悪くもフツーの小さいハコでした。まぁそんなモンですよね。

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最初に出てきたのはマーライオンさん。懐かしい青臭さをたたえた、アツいけど不器用な青年。喩えるなら“色々スベってる和製盧廣仲”てなところか。弾き語りで1曲→ラップで2曲…の筈が「やっぱりオレは唄うぜ!」かなんか言って再びギターを抱え1曲。リアルかギミックかはさておき、そのイタいほどあちこちぶつかってる感と、そんな中でもやりたいこと自体は(意外と)しっかりしてる感のバランスが面白い。フロアが程良くあったまりました。

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あったまったところで一転、オサレ系(風情の)男女デュオ=ジュモー・オブセーヌ。写真センターの着ぐるみの中の人は言わずもがなです(笑)ググってもよく分かんない人たち(ぉぃ)でしたが、この振り幅こそがこのライヴの妙味であり姫乃たまという人の妙味でもあり。オリビア・ニュートン・ジョン「フィジカル」のカヴァーで着ぐるみが手振りを必死に真似する姿を親のような気持ちで微笑ましく眺めてたのは何故でしょうか…

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続いてその名はスペィド。ざっくり言えばテクノ系アイドル風ユニット(多少設定アリなので要HP参照)、大好きな系統です。上手側のダンサーさんアッキーナ似で表情が曲の世界に入り込んでて見惚れてしまう。そしてVo.さんの程良く鍛えられた腹筋にまた見惚れてしまう。そして当たり前だけどホントいろんな音楽があって、そしてその音楽を奏でる人がいるんだなーと思う。こんだけの世界観持っててなお“地下”でやってるんだからなー。

この後、主役のたまさんが登壇して「酔っ払う前に」新曲他数曲を披露。そしてさっきまでその名はスペィドのトラックメイカー氏が正座プレイしてた上手袖にちょこんと座り、客に酒をおごるよう煽りながら(若干脚色)主催者兼主賓としてステージを見守ります。

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「20年生きた猫、と思っています」という紹介で登壇したのは若林美保さん。あーうまいこと言うなぁ、と感心しばし。ライトに照らされる、歳相応な肌ツヤとそれに抗うかのごとくしなやかな舞いっぷりと佇まい。キチンと老いて、かつキチンとオンナであること。パフォーマーとして己の体一つで生き抜いている姿…まさしく“猫”。なかなかできるモンじゃありません。生き様を凝縮したかのような濃い空気が醸成されていきます。

…そしてその空気を軽快に引き裂く主催者のお言葉「えー、自家発電したくなった方もいると思いますので、ここで休憩を…」おい。

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休憩明けのトップバッターはゴメスさん。「昨日は山口で、カリスマドットコムとかと一緒のライヴに出てたんだぜっ」とかライムした後、ニューアルバムに収録されるというたまさんをフィーチャーした曲を一緒に。ここでのたまさんの佇まいにまたまた見惚れてしまう。若さと青さとキラキラ感と儚さのバランス、曲の世界観に見る者をスッと引き込んでいく姿が思いの外キチンと“アイドル”してて(ぉぃぉぃ)ビックリでありました。

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安田理央川崎ぶら両氏が古今の名曲をギターと年代物のリズムボックスにのせてメドレーする“人力マッシュアップユニット”リオ・ブラボー。二人の間で日本酒呑んでる人(呆笑)がエンディングをネタバレしてからどこで曲変わってるか分かんないくらい一曲にして延々と唄う。安田さんは相変わらずムダに声が通るなぁ(失礼)。石野卓球や佐野電磁に匹敵。そしてネタバレしないと尻切れトンボ化するとこだったのでたまさん好判断。

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「16歳の頃からずっと見てる劇団」という紹介で登壇したゴキブリコンビナート…内で結成したアイドルユニット=BBG(分倍河原)48。ヒドい。本当にヒドい(激賞の意)。アイドルは“片思いの人が出したゴミを漁る歌”とか唄わないし三角定規を股間にこすりつけながら唄わないし(!)殺害塩化ビニールからCD出したりしない(!!)ハケた後で男性劇団員がステージ上に残ったゴミ(小道具)を一心不乱に片付ける姿もヒドい(激賞の意)。

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ゲスト陣の最後を飾るのは“昭和の歌のお姉さん”感漂う町あかりさんライヴハウスよりレコード屋さんの店頭が似合う感じ。初めて聞く名前だったけど当然ながらファンの方もいて、に合わせて一緒にピコピコハンマー鳴らしたりする。どうやら全曲自作のようですが、“昭和歌謡”のニュアンスを上手に汲みとって自分のモノにしてるのが面白い。ホント、色んな歌手の方がいて色んな音楽やってるんだなーとイヤになるくらい思いました。

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最後は主催者にして主賓=姫乃たまさんが再び登壇して2曲。最後の「ねぇ、王子」では軽くヲタ芸が発生してましたが、MIXを微笑ましく眺める(何だそれ)なんてことは初めてだったように思います。気付けば自然とケチャしてたりもして(笑)。「大学卒業が確定しました」の報告に思わず万歳三唱が起きたりと、ほのぼのとした雰囲気の中で公演は終了。そして前方の客が強制的にどかされて物販のスペースが作られる。“地下”だ!

全体を通して感じたのは、姫乃たまという人の人望とキュレーション能力の高さでした。ツイッターのプロフィール欄に「下北沢生まれ、エロ本育ち」とありますが、まさに(昔の)エロ本のモノクロページのごとく雑多な要素が詰め込まれたイベントでした(“エロ本のモノクロページ”云々の話はかつて安田理央氏がDVDマガジンを発行した際にも語ってたことです)。最近のアイドル現場というのは総じてヲタがルーティン化したヲタ芸を打つ場所と化していて、たとえ出演者が多くても楽曲も含めて個性があまり感じられないことが多いので、これだけ出演者のベクトルが拡散してるイベントはホントに新鮮でしたし、たまさんの目の付け所や顔を出すタイミング、出演者へのツッコミ具合も実に適切で、アイドルである以前にイベンターとして優秀すぎます。「今日はこんなにお客さんが来てくれてるけど他のイベントに出るとあんまり来てくれない」とか嘆いていましたがしょうがありません。ここに集まった客は(各出演者のファン以外は)姫乃たまを見に来たというより、姫乃たまが作り出す空間を楽しみに来たんでしょうから。自分も結果的にそうなりましたし、だからたぶん次の主催イベントも行くし。そして悩みを抱えたまま気付けば来年の生誕祭になってるんですよ、きっと。残念(違)

来年も見ることができたら嬉しく思います。よろしくお願いします。

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▲物販でトートバッグを買った際に撮らせていただいた写真です。iPhoneのロック画面に設定したので、起動するたび妙にドキドキします(笑)